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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻3号

1957年03月発行

文献概要

臨床実験

当教室に於ける角膜表層移植10例の経験

著者: 佐伯讓1 樋田敏夫1

所属機関: 1日本医科大学眼科

ページ範囲:P.436 - P.438

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緒言
 従来当教室に於ける角膜移植は殆んど総て全層移植であつて,之について中村教授は昭和25年特別講演され,既に500例に及び幾多の失明者に再び光明を与えて居る所であるが,手術の際臨床的に又組織的に検討致しますと,角膜溷濁の所在が表層のみに限局し,敢えて眼内手術に属し種々の偶発事項を伴う全層移植に依らず,角膜表層のみの交換移植にて事足りると思われる例が少ないのである。而して表層移植を文献についてみると,外国では,Mühlbauer,Munk,Königshofer(1840), L.Paufique (1948)等が報告以来Hi-ppel (1887)が独特のトレパンを発明し新機軸を開いた。本邦にては水尾氏(1905)により部分的表層移植の臨床例が報告されて居る。さて当教室に於ける表層移植の第1例として先年教室の周藤がトラコーマパンヌスに依る角膜溷濁に対する表層移植を報告し,術後0.1の視力を得,術前懸念された移植片と母体角膜との癒合瘢痕はそれ程心配にならず,又全層移植の如く角膜を穿孔しないので虹彩,水晶体の損傷,虹彩の脱出,硝子体漏出或いは化膿から全眼球炎等の重症なる偶発事項を伴わないので適応症さえ選択すれば奨用すべき手術であると述べ,その後手術方法手術器械等に考案改良を加え,最近10例の経験を得たので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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