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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻4号

1957年04月発行

文献概要

故中村康教授追悼号 原著

角膜ヘルペスに於けるリーゼンガング氏環の3例に就て

著者: 吉永幸子1

所属機関: 1日本医大眼科教室

ページ範囲:P.608 - P.612

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I.緒言
 角膜ヘルペスの臨床像は多種多様であつて現在に於ては円板状角膜炎,樹枝状角膜炎及び糸状角膜炎等が一般に認められている。之の角膜ヘルペスは1920年Wilhelm Gruter氏がヘルペスより採取したる材料を以て家兎角膜に接種し,人間と同様の変化を起させることに成功して以来角膜ヘルペスは,一種のVirus性疾患と見做されるに至つた。就中円板状の角膜溷濁を特徴とする円板状角膜炎は1901年E. Fuchs氏によつて独立した眼疾患として命名されて以来数多くの報告がなされている。しかし其の病因に就ては外傷,痘毒,蜂毒,枯草菌或は結核アレルギー等色々な報告があつて,未だ決定したとは考えられない。杉田氏はこの円板状角膜炎の本態を追究し新しい所信を述べている。即ち氏によると家兎角膜の実験により,円板状角膜炎の特異な臨床像は角膜を一種のコロイド膜としてリーゼンガング氏現象を基本とした基質蛋白質の沈澱輪により成立するものである。又Virus毒素による実験の結果,固定した円板状角膜炎の臨床像を認めている。之はVirus毒素の病巣産生物質が蛋白質に作用し,異種蛋白質の相接触せる現象として共に沈澱せるものと考え,之が円板状を呈しているのはコロイド板内に於ける異種コロイド電解質の拡散像としてリーゼンガング氏現象を具現したものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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