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臨床実験
Wilson氏病の眼剖見例
著者: 阿部敏子1
所属機関: 1福島医大眼科
ページ範囲:P.743 - P.746
文献購入ページに移動 Wilson (1912)が記載した肝脳変性症に於いて臨床的には運動障害,言語障害と共に眼症状としてのKayser-Fleischer輪の占める意義も大であり,この角膜輪の存在によつて診断の確認されることが屡々である。而してKayser-Fleischer輪の本態に就いては,Fleischer (1910)が初めて組織学的検査を行つて以来,諸説があるが未だ不明である。本邦に於いても鹿野(1944)1),及び田野(1950)2)氏の2例に於いて組織学的検索が行われているが,前者はツエロイジン包埋により色素の消失を来した為,実際に詳細な組織化学的検査が実施されたのは田野氏の1例のみである。私もWilson氏病の剖見例に遭遇し,その眼球に就いて種々検索を行つたので報告する。
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