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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻6号

1957年06月発行

文献概要

臨床実験

結膜上皮の細胞学的研究—健常結膜,流行性角結膜炎,麻疹性結膜炎,ビトー氏斑,乾角結膜炎,細菌性結膜炎,トラコーマ

著者: 大竹卓一郎1

所属機関: 1日大医学部眼科

ページ範囲:P.863 - P.878

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I.緒言
 結膜の組織学的,病理学的研究はすでに多くの人々によりなされているが,それらの多くは形態学的研究を主とし,且その主なる対象は個々の細胞ではなくてむしろ細胞の集団である組織であつた。所が,最近十数年来組織化学,細胞化学の著しい進歩を見,個々の細胞を対象として形態学的見地からしても,化学的見地からしても,研究が比較的容易に行える様になつてきた。他科領域にあつてはすでにこれが種々応用されていることであるが,眼科領域,殊に結膜上皮細胞についてわかかる見地からなされた研究は未だない様である。唯,形態学を主とした細胞学的研究としては,古くは宮下1),小口2),Stargardt3)氏等,近くは丹羽4),Thygeson5)氏等による各種結膜炎に於ける結膜嚢内遊走細胞像についての観察があり,細胞化学的なものとしてはThygeson5),Agarwal6)中島7)氏等数氏によるプロワツエーク氏小体等に関する研究があるにすぎない。
 結膜は他組織に比して軽く擦過することにより容易にその上皮細胞を採取することが出来るので各種結膜疾患に於ける上皮細胞の変化を細胞学的に追求するのに極めて都合がよい。私は以上の様な考からこれまで健常結膜及び各種結膜炎に於ける上皮細胞の状態について形態学的,並びに化学的にその何れにも偏重することなく観察を加えて来梢知見を得たので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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