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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻6号

1957年06月発行

文献概要

大橋孝平教授開講10周年記念論文

糖尿病患者に見られた網膜多発毛細血管瘤と網膜ルベオージス

著者: 南部正躬1

所属機関: 1慈恵会医大眼科

ページ範囲:P.894 - P.899

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 1922年Banting及びBestがインシユリンを発見して以来,糖尿病の予後は著しく改善され同病患者の生命は延長せられ,全患者の平均余命はインシユリン前期の約3倍(15.2年)と言われている。インシユリン発見によつて,昏睡死は激減したが,之に反し糖尿病の合併症としての心臓及び血管障害所謂循環器障害,腎臓障害及び其の他の合併症は逆に増加の傾向にあるとされている。且つ近時病理学的,生化学的及び臨床的に,又実験的糖尿病の研究により糖尿病そのものに対する見解に於ても,従来のものとは変りつゝある模様である。眼科領域に於ても,糖尿病に由来すると思われる眼合併症の報告も逐次増加して注目を集めているが,糖尿病に併発した疾患に就ては,1814年Renauldinが視力障害及び失明を報告した事に始まり,糖尿病患者の眼検査は必須の条件となつた。糖尿病に合併する眼障害の頻度は報告者により各々其の価を異にするけれども,大体5%〜40%と言われている。日常最も我々が経験するのは糖尿病性自内障と糖尿病性網膜炎(症)の二つであらう。前者に就いては先に日眼誌上に発表した通り,いさゝか検討を加えておいたが今回は最近経験した糖尿病性網膜症の1例に於て従来の報告とは稍々異つたものを発見したので敢て報告する次第である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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