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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻9号

1957年09月発行

文献概要

臨床実験

所謂中心性網膜炎の研究(第1報)—初期に視力が凸レンズで矯正される現象に就いて

著者: 本多英夫1

所属機関: 1名古屋市立大学眼科

ページ範囲:P.1175 - P.1177

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緒論
 我が国に於ける所謂,増田氏中心性網膜炎の研究の歴史は相当古いものである。然しその確実な組織処見は,昭和23年及び24年に,生井氏及び上岡氏の報告を見るのみで,従つてその研究は臨床処見及び機能的な観察に重きが置かれている。本症の臨床経過は周知の如く,突然中心暗点を自覚し,初期には黄斑部に所謂浮腫が現われ,この浮腫は一般に一カ月程の後に吸収されて終う。そして多少共眼底変化は残すが視力は比較的早く回復していく。従つて本症の病像を云々する場合,上述の二症例の報告は重要なものではあるが,矢張り疾患の一つの断面を示しているに過ぎない事を忘れてはならぬと思う。
 茲に問題とする現象に就いても,生井氏は黄斑部に硝子体よりも屈折率の高い液体が凹面をなして貯溜しているため,視細胞層に結像すべき光線は,液面で少し外方へ屈折して視細胞層より後方に結像する。即ちこれが所謂遠視の原因であると結論している。一方上岡氏は黄斑部網膜下の滲出液を認め,この処見は生井氏の処見に反して,従来より増田,長谷川,北原の諸氏が臨床処見より,又三井氏等が細隙燈を用いて観察した結果に依つて支持されている様に,所謂遠視も網膜が前方え凸出するために起ると謂う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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