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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻9号

1957年09月発行

文献概要

臨床実験

トノグラフイーの臨床(第4報)—ピロカルピン,ホマトロピンの房水流出,産生に及ぼす影響並びに隅角所見との関係

著者: 景山万里子1

所属機関: 1東京警察病院眼科

ページ範囲:P.1179 - P.1187

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I.緒言
 緑内障の本態は,現在尚明らかにされておらず,近年頓に世界各国に於てその研究が盛んになつて来た。中でも眼房水の流出を計測して,眼圧生理を解明しようとする方法に,Goldmannのフルオレスチン法とGrantのtonographyがある。前者は操作がむづかしいが,後者は簡単で臨床的に非常に応用し易い為,特に最近この研究が盛んに行われている。
 私もtonographyによつて,ピロカルピン(以下ピロと略記)とホマトロピン(以下ホマと略記)の眼圧に及ぼす影響並びに房水流出,産生機転に対する作用を,正常10眼,疑似緑内障10眼,緑内障57眼,合計77眼について測定し,更に,河本式隅角鏡(昭和25年8月東京眼科集談会発表)を用いて隅角検査を行い,隅角所見と,ピロ,ホマ,作用の関係を比較してみた。ピロ,アトロピンの正常眼眼圧に及ぼす影響については,現在迄多くの研究があるが,その成績は必ずしも一致しておらず,作用機転にも種々の異論がある。しかし,緑内障眼に対しては,縮瞳的に作用するピロが眼圧を下降せしめ,散瞳的に働くアトロピンが眼圧を上昇せしめる事は多くの人々の認める所であり,緑内障眼にアトロピンを用いる事は禁忌とされている。又,ピロ,アトロピンの眼房水流出に及ぼす影響にも,以前より種々の推論はあるが,尚意見の一致を見ない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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