icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻11号

1958年11月発行

文献概要

特集 手術

内斜視の手術

著者: 原田政美12

所属機関: 1東大眼科 2関東労災病院眼科

ページ範囲:P.1435 - P.1439

文献購入ページに移動
 斜視を手術した場合簡単に治るものもある反面,どうしてもよくならない患者がかなり多い為,斜視の手術は難かしいと云う印象を受け易い。然もうまく治らなかつた場合には手術が下手であつたと考えられ易いが,手術の巧拙が斜視の治療成績に影響するところは甚だ少ないものである。勿論手術操作が未熟な為過誤をおかした場合に所期の手術効果が現われないのは当然であるが,普通の方法で普通に手術すれば,誰がやつても先ず同じような成績が得られる筈である。元来水平直筋の手術の歴史はかなり古く(1839年),手術手技自体は現在殆んど完成の域に達していると云つてよい。所謂「手術のコツ」と称せられるものは,結膜やテノン氏嚢の切開,剥離,筋や睫の切断,縫合等の個々の操作に多少独特な点があるだけで,基本的な構想に相異がある訳ではない。即ち人により種々独特な手術法を採用しているとしても,基本的な手術法を確実にする為の部合的修飾に特徴があるだけで,然もその為に手術の効果が大きく左右される性質のものではない。従つて手術書に記載されている方式を忠実に模倣しておりさえすれば,必ず所期の効果を期待出来る筈であつて,何か特別な手術法が考案される余地は殆んどないと云つてよい。若し所期の効果があがらなかつたとしても,それは手術自体が拙劣であつたのではなく,その原因が全く別の方面に存在していることを知らねばならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?