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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻11号

1958年11月発行

文献概要

特集 手術

虹彩及び瞳孔の手術(後発白内障を除く)

著者: 大橋孝平1

所属機関: 1慈恵医大眼科教室

ページ範囲:P.1524 - P.1531

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1.虹彩脱の手術
 外傷性角鞏膜損傷による場合は,外傷後の経過日数によつて虹彩脱の処置を異にする。遅くも24時間以内であれば,充分消毒の上で整復可能のことがある。但し化膿に対しては厳重に警戒するを要するので,ペニシリン,クロマイ,アクロマイシン等の充分の投与が必要であるが,術式としては充分に1〜2%エゼリン,ピロカルビン水を点眼して,キシロカイン,コルネカイン等で表面麻酔を行つたのちに,角膜等の穿孔創口よりスパーテル又は太いブジーを挿入して虹彩篏頓を整復するが,特に穿孔部が直線創をなすものより,鋸歯状の創口の方が整復は可能のことが多い。数日を経たものでも殊にこの傾向を見るが,然し脱出の広範囲又は創口の大きい場合は多くは整復困難で,可及的に反勢,ウエツケル剪等で脱出部を勢除しなければならない場合が少くない。
 特に創口の哆開し易い場合は,前以て糸附き角膜針で1〜2コ縫合してから整復して見るのも一法である。陳旧症の虹彩脱は然し,多くは瘢痕化しているので整復は困難であるから,焼灼,切除,掻爬を行い,必要あれば,そのあとで創口を縫合し,又は図の様な球結膜被覆手術を行う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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