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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻11号

1958年11月発行

文献概要

特集 手術

毛様体解離術,毛樣体ヂアテルミー

著者: 岸本正雄1

所属機関: 1京都大学眼科教室

ページ範囲:P.1544 - P.1550

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 毛様体解離術は1906年Heineが記載した方法でその歴史は古い。之に反し毛様体ヂアテルミーは網膜剥離の手術的療法としてヂアテルミー凝固が盛に使用されるようになつてから発展した方法であつて,対緑内障手術の1術式として明確に打立てられたのは1936年Vogtの記載に始り,歴史は比較的新しい。これらの両術式は現今あらゆる眼科手術書に収録されており,眼科臨床家としては当然心得ておかねばならぬ手術である。然しながら両方法共に緑内障の本態を衝く手術とは考え難く,緑内障の最も主要な症候であり,然も眼球の機能に対して決定的な有害作用を及ぼすと考えられる上昇した眼圧——之を低下せしめることを企図する手術に過ぎない。毛様体解離術の古くから挙げられている適応は濾過瘢痕形成手術(円鋸術,虹彩嵌置術)と殆んど同一である関係から,術者の好みにより濾過瘢痕形成手術と竝んで盛に愛用されており,昨今の世界眼科手術界の趨勢は円鋸術よりもその施行頻度は寧ろ凌駕している傾向にあるようである。所が我々の所では円鋸術を愛用していることは昔も今も変りなく,毛様体解離術は比較的特定の場合にしか行つていない。
 毛様体ヂアテルミーは,毛様体解離術が建設的手術とも言い得るに反して,破壊的手術とも言うべきものであるから,一般的傾向として,適応を比較的限定して行われているのも亦当然である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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