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臨床実験
血圧と関係のある2,3の眼底所見について—(其の7)糖尿病患者の網膜細動脈硬化所見特に交叉現象について
著者: 加藤謙1 羽飼昭1 天羽栄作1 坂上道夫1 須賀純之助1 林正雄1
所属機関: 1慶大眼科
ページ範囲:P.1673 - P.1682
文献購入ページに移動Insulinの発見(1922)以来,糖尿病性昏睡による死亡が減少し,これに代つて循環器系統の合併症とこれによる死亡が増加しつゝあることは諸家(特にJoslin 1952)の指摘するところである。而して循環器障碍としては,冠動脈硬化,大動脈硬化,四肢の壊疽,腎細動脈の硬化,糸球体の病変及び血管病としての糖尿病性網膜症等が知られ,病変は大動脈より細小動脈・毛細血管に及び普遍的にみられる。然らば細動脈を直接拡大して観察し得る利点に恵まれた網膜の動脈硬化所見は何のようであろうか。先人のこの問題に関する研究は比較的少なく,小柳美三(1935,1941) Waite及びBeetham (1935),Ballantyne及びLoe-wenstein (1944),Leopold (1945),Ashton(1953),Quiroz等(1954),Kornerup (1957)等の業績が主なるものである。
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