臨床実験
眼科領域に於ける尿中17ケトステロイドについて
著者:
水川孝1
高木義博1
木内健二1
所属機関:
1徳大眼科教室
ページ範囲:P.159 - P.167
文献購入ページに移動
性腺及び副腎皮質ホルモンの尿中誘導体である尿中17ケトステロイド(以下尿中17—KSと略す)はその排泄量から副腎皮質や性腺機能を窺い知る事が出来るのでMason & Kendall (1936)1)が純結晶性に抽出し,Steiger & Reichstein(1937)2)等がその合成に功して以来,動物実験,臨床症例及び尿中代謝産物等各方面から多くの追求がなされている。1938年Selyeは"General A-daptation Syndrome"の概念を提唱し,生体があらゆる型の非特異的刺戟(Stressor)に曝露された時に示す内分泌的防禦機序と云うものが,副腎皮質と重大な関係のある事を明らかにし,さらに疾病に対する非特異的刺戟療法の効果は,警告反応の抗シヨツク期に見られる抵抗の増加に密接な関係のある事を指摘している。池田教授等3)は眼科領域に於て非特異的刺戟に対する生体の防禦反応から眼科疾患の非特異的な面並に特異療法の奏効機転を探求し,新知見を多数報告している。私等は今回眼科領域に於て治療的に加えられたストレツサー(尾動脈毬摘出術,ホルモン剤,自律神経遮断剤,アダプチノール及びダイアモツクス投与等)に対して生体の示す一連の非特異反応を尿中17-KS排泄量の消長から観察したので報告する。尿中17-KSの測定は増田氏4)の方法を吟味,一部改良を加えて行つた。