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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻3号

1958年03月発行

特集 第11回臨床眼科学会号

一般講演

頻発せる毛虫の遊離刺毛による眼障碍—特に刺入機転に就て

著者: 小松栄12

所属機関: 1伊那中央総合病院 2信大眼科

ページ範囲:P.287 - P.292

文献概要

緒言
 数年前から私は長野県南部地方に於て,眼痛を訴えて外来を訪れる患者の中に,肉眼では殆ど見出し難い程微細な黒毛が1本だけ瞼結膜に刺さりそれによつて角膜に擦過線状の傷を生じている者を時々見ていた。偶々昭和30年8月松毛虫を投げつられ眼瞼皮膚・結膜・角膜・虹彩等に無数の毛が刺さつている子供を見てから松毛虫の虫体各部の毛を顕微鏡で観察している内に,先に時々見ていた微細な毛は松毛虫の刺毛ではないかと思いつき,其の後注意していると,昭和30年8月から32年9月まで約2年間に26症例に松毛虫の刺毛と思われるものを見出した。
 毛虫の毛が眼組織に刺さると,それを中心にして結節を生ずることは,よく知られて居り,偽結核性症Pseudotuberculose Entzundung(Wagen-mann)或は結節性眼炎Ophthalmia nodosa炎(Saemisch)等と呼ばれている。ところが私が見た症例では結節を見ず,又患者自身は毛虫との関連に全く気付いていなかつたので,初めは毛虫の毛に思い及ばなかつたものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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