文献詳細
文献概要
特集 第11回臨床眼科学会号 一般講演
非網膜剥離眼に於ける網膜裂孔及び嚢状変性について—(第1報)片眼剥離症例に於ける検索成積
著者: 田川博継1 時田広1 斉藤昌淳1
所属機関: 1札鉄病眼科
ページ範囲:P.492 - P.500
文献購入ページに移動網膜剥離(以下剥離と略称)例では仮令治癒例と云えども視力,視野,其他の網膜諸機能は,経験例でも又最近の広大百々教授門下の詳細なる研究等によるも,その剥離期間及び程度に応じて一般に正常眼より減退するのが常である。特に本邦の現状の如く,視野の概念の一般的欠如により黄斑部に迄剥離が進行し中心視力が犯されて始めて受診する者が大部分であるので遺憾乍ら機能障碍の後遺が顕著な症例を経験する。従つて治療より寧ろ予防に重点を置く可き事は自明の理である。更に一方,予防手術の非観血的手段としてのMeyer-Sćhwickerath(1954)の光凝固の発表(之のみにては尚欠点を懸念されるが)以来,今や剥離は予防の時代に突入した感が深い。所がこの予防手術の基礎となる可き非剥離眼の多数例に於ける裂孔乃至嚢状変性に就ての検索成績の詳細なる報告は,後述の如く現在迄内外共に皆無と云つても過言でなく且つ甚だ不充分である。
田川は1941年(昭16)以来,百々氏(1943)と同様なる意図の下に先ず片眼剥離例の他側眼,更に機会ある毎に諸種眼の眼底精査を行い今日迄我々の眼底精査例は相当な数に登つた(約700眼)。で,遂次その成績を整理,報告し度い。
掲載誌情報