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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻4号

1958年04月発行

文献概要

日本トラホーム予防協会会誌

トラコーマ血清の蛋白各分劃比率について

著者: 柏井忠夫1

所属機関: 1京都府立医大眼科

ページ範囲:P.21 - P.23

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 血清蛋白にはアルブミンのほかに,α.β.γ.の三つのグロブリン屑が区別され,抗体蛋白は,一つの独立の分屑として,γ-グロブリンに近い性質のものである事はよく知られている事である。私はトラコーマの場合,その患者血清中に,トラコーマ抗体の存在する事に確信を得たので,γ-グロブリンがトラコーマ抗体とどの様な関係にあるかを追求する目的の為に,トラコーマ患者血清の蛋白各分劃比率を測定した。
 血清蛋白各分劃比率の測定には,塩析法及び電気泳動法を利用する方法があるが,厳密に云うと,血清蛋白質を完全に均一純粋な状態のままで分離する事が困難である現在,両者による測定値を比較すると多少の差異のある事は当然の事であるが,臨床的に電気泳動法を利用する場合には,比較的大量の血清が必要であり,設備も高価で,技術の習熟を必要とする関係上,私は,此の電気泳動装置の欠点を除く為に,Kingsley.Wolfson.Cohn.Weichselbaum.等の提唱せる化学的蛋白各分劃測定法を改良し,電気泳動法の成績と極く,近似の値をうるように案出した吉川,斉藤氏1)の塩析法(ビウレット反応)を利用した。池田2)によれば,此の方法は,電気泳動法による値と比較すると,α-グロブリンは塩析法では高い価を示すが,其の他の各分屑値は,両者の間に著しい相違はみとめられず,むしろ斉藤,吉川氏法による方が簡便にして,臨床的には,秀れた価値があると云つている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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