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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻4号

1958年04月発行

文献概要

臨床実験

所謂中心性網膜炎の研究(第2報)—中心暗点と浮腫との関係に就いて

著者: 本多英夫1

所属機関: 1名古屋市立大学眼科教室

ページ範囲:P.577 - P.580

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緒論
 前回の報告8)で私は,本症の初期に視力が凸レンズで矯正される現象に就いて観察し,凸レンズの度で推定される所謂遠視の度の著しい場合には,必らずそれに相当した大きさの浮腫が検眼鏡的に認められるが,逆に浮腫が相当に大きい場合,例えば視神経乳頭の6乃至7倍に達する場合でも,所謂遠視の度が,全くない場合から,+1.5D程に及ぶ場合まである事を述べた。
 所謂遠視が著しくそれに相応した浮腫がある場合は,勿論増田氏3)以来認められている様に,組織的に網脈絡膜の間に滲出液が溜り,網膜が前方へ移動して,眼軸は見掛け上短かくなり,これが遠視の原因となる事は誤りないと思われる。然しながら茲に浮腫の相当に大きい場合でも,所謂遠視の全く起つていない場合がある事は,前報の遠視と浮腫の大きさとの関係の図8)より認めなければならぬが,検眼鏡的に認められる黄斑反射輪の拡張及びその中の混濁で特徴づけられる浮腫が,従来増田,長谷川1),北原2)の諸氏に依つて述べられている様に,総て網脈絡膜の間に溜つた滲出液のためであるとすると上述の結果の説明が困難になる。即ち同じ様に綱脈絡膜の間に滲出液が溜つても,或る場合には網膜は凸出し,或る場合には殆んど凸出しないと云う事になり,その凸出の有無は一方的に検眼鏡で認める浮腫の大きさに関係していないからである。この事は本症の病像を統一して理解する場合厄介な事になる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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