文献詳細
臨床実験
文献概要
I.緒論
瞳孔運動の研究は眼科生理学上重要且興味あるものにして,古来幾多の実験並に研究が見られるが,その大半は縮瞳過程のみに終始して,散瞳の方面にはいささかその業績を見ることが少い。しかし乍らこの様な一方的な作用のみの研究では,瞳孔運動全体の充分なる解明に役立つものとは考えられない。即ち吾人が種々の疾病に関し,その瞳孔反応を調べるがこの観察は,或る一定度の明るさのもとに於ける瞳孔径より,或る光刺激を与えた為に起きる縮瞳過程をとらえることにあるのが大半である。著者はこの点に関し少なからず疑問を持ち,その逆の観察即ち,遮光性散瞳反応の経過を観察し,従来行われた研究と相俟ち縮瞳筋,散瞳筋作用の種々なる障碍を解明するならばここに亦,今迄考察されなかつた何物かを掴み得ると考え,赤外線使用による瞳孔の映画撮影法を持って,先ず家兎に於ける基礎的な実験をなし,いささか得るところがあつたので,茲に報告する次第である。
瞳孔運動の研究は眼科生理学上重要且興味あるものにして,古来幾多の実験並に研究が見られるが,その大半は縮瞳過程のみに終始して,散瞳の方面にはいささかその業績を見ることが少い。しかし乍らこの様な一方的な作用のみの研究では,瞳孔運動全体の充分なる解明に役立つものとは考えられない。即ち吾人が種々の疾病に関し,その瞳孔反応を調べるがこの観察は,或る一定度の明るさのもとに於ける瞳孔径より,或る光刺激を与えた為に起きる縮瞳過程をとらえることにあるのが大半である。著者はこの点に関し少なからず疑問を持ち,その逆の観察即ち,遮光性散瞳反応の経過を観察し,従来行われた研究と相俟ち縮瞳筋,散瞳筋作用の種々なる障碍を解明するならばここに亦,今迄考察されなかつた何物かを掴み得ると考え,赤外線使用による瞳孔の映画撮影法を持って,先ず家兎に於ける基礎的な実験をなし,いささか得るところがあつたので,茲に報告する次第である。
掲載誌情報