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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻6号

1958年06月発行

文献概要

臨床実験

家兎角膜脈波(角膜伝達脈波)描写に関する諸問題

著者: 川嶋菊夫1

所属機関: 1慶大眼科教室

ページ範囲:P.855 - P.859

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緒言
 循環器系の疾病特に高血圧症並びにその発症等に関する研究が盛んになるにつれ,その本態を解明せんとする動物実験の研究,例えばGoldblatt法による実験的高血圧,或いは実験的脳症の発症等種々の研究が広く行なわれる様になつて来た。現在のところ家兎は之等の研究にその発症の容易性から云つても,取扱いからしても,第一に挙げらるべき動物である。従つて眼科に於いても全身に於ける随伴現象を見る上に重要なるは云う迄もない。そこでその主体性を網膜中心動脈にもつ角膜脈波(この内,圧力脈波は角膜に伝達される脈波である故に角膜伝達脈波とした方が可ならん)の有意性は循環器検査の上に極めて大である。故にこの脈波を上手に描写する事が大切であるが,家兎角膜の径は,ほとんど人間と同様であるに反し,眼球全体の容積は約半分位であり,網膜血管径は人間のそれに比し極めて小さい,従つてこれ等の条件が組合わさつている故に人間の場合と異なり角膜脈波の描写は非常に六ケ敷い。而して若し此描写にあやまりがあるならば,その実験上からくる推論は総て間違いを犯す事となる。然らば如何にしたら家兎角膜脈波を上手に描写し得るか,起り得べき一つ一つの要因につき実験を行つた結果2,3の知見を得たので茲に発表する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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