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臨床実験
高血圧症に試みた所謂Dionin反応について
著者: 井上八千代1 武藤清子1 川島久雄1
所属機関: 1日大眼科
ページ範囲:P.937 - P.940
文献購入ページに移動血管に負荷試験を行つてその血管の残余能力の多寡を知る事が出来れば,高血圧症患者の血管壁の状態,即ち硬化やスパスムスを知る事が出来て,本疾患の治療の上に大なる利益をもたらすと思う。昭和18年,江原氏はこの事に着目し,諸種の疾患,主として高血圧症に対して2%Dioninを点眼し,10分後における結膜所見を検し,原疾患によつて反応状態が著しく異なると報告している。即ち,結膜嚢全域の出血点を数えて出血点の少いもの第1度から出血点の多いもの第4度迄を分ち,本態性高血圧症には強度陽性を示すものが多く,腎性高血圧症では常に陰性になると発表し,相当はつきりした差が認められたと記している。
我々も今回これに興味を持ち追試を行つた。我々はかつて.細隙燈で前眼部血管に硬化と思われる所見が屡々見出される事を報告したが,かかる血管がDioninに対してどのように反応するかを検し,且つ,眼底血管の硬化度及び原疾患との比較検討を行つた。その結果,予期した江原氏のような成績とは異なつ結果を得たので報告する。
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