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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻6号

1958年06月発行

文献概要

臨床実験

頭蓋内圧と眼底血圧との関連についての一考察

著者: 山田耕太郎1

所属機関: 1慶大眼科

ページ範囲:P.940 - P.945

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緒言
 眼底血圧と髄液圧との関係についての文献は本邦において極めて少ないが,西欧には比較的多く見られ,脳腫瘍・髄膜炎等頭蓋内圧上昇性疾患の場合に眼底血圧が上昇する事を認めている報告が多い。しかしながらかかる疾患においては,正常者高血圧症患者等における眼底血圧と髄液圧との関係とは事情を異にすると考えられるので,これらのものを綜合観察するのでなければ,果して脳腫瘍,髄膜炎等において眼底血圧に変化が生ずるか否か,またもし生ずるならば,それがいかなる意義を持つものであるかについては明瞭でない訳であり,現在未だかかる域に達してはいない。元来脳腫瘍,髄膜炎等における髄液圧と眼底血圧との関係を研究する目的は,髄液圧脳圧の上昇が直接にまたは脳循環への影響を介して間接に眼循環に影響するかどうかを知る事にあると考えられるが,近年髄液圧と脳循環との関係についての研究が発展し,脳腫瘍,髄膜炎等における脳循環の状態は次第に解明されつつある。一方眼底血圧測定の意義についてWeigelin等によつて唱えられている説即ち眼底血圧は眼内局処の血圧を現わすものでなくて,更に深部の眼動脈血圧を現わしており,この眼動脈血圧は頭蓋内の血管抵抗を反映するという考え方が本邦に紹介された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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