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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻7号

1958年07月発行

文献概要

日本トラホーム予防協会々誌

トラコーマ結膜嚢内に共棲する細菌について—第1報 トラマーコ結膜嚢内共棲細菌の菌種及び其の発現頻度について

著者: 難波龍也1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科教室

ページ範囲:P.52 - P.59

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緒言
 トラコーマ眼に於ては健康眼に比して結膜嚢内が共棲細菌に依つて汚染され易い傾向にある事は現在迄に多数の報告があり,最近では,赤木,佐木山,石川,Feigenbaum氏等の報告が見られる。此のトラコーマ結膜嚢内共棲細菌のトラコーマ症状えの影響に就いても種々報告が見られ,共棲細菌に依りトラコーマ症状の悪化,経過遅延或はトラコーマの伝染機会の増加等種々の悪影響を及ぼすのではないかと言われている。更に最近ではトラコーマの発病に関して其の共棲細菌に依る炎症症状が問題となつている。私は此等種々問題のあるトラコーマ症状とトラコーマ結膜嚢内共棲細菌との関係に就いて種々検討を加えるべく本研究を始めた次第である。本篇に於てはトラコーマ結膜嚢内共棲細菌に就いて,得たる資料により菌種及び其の発現頻度其他につき検討を加え度いと思う。
 現在に於けるトラコーマは軽症のものが多く,特に特殊の地域を除いては,近々数年前に屡々見られた如ぎ定型的トラコーマは我々の周囲には殆んど見られなくなつている。之には環境衛生の向上,或は抗生物質其の他薬品治療剤の数年来の高度の普及等に依ると思われるが,之等の条件に依り,各地域に於けるトラコーマ結膜嚢内共棲菌の分布状態も違つて来ると考えられるので,私は環境其の他の条件の異つた地域に就き,各地域毎に健康眼と対比し共棲菌に就いて考察を試みてみたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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