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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻7号

1958年07月発行

文献概要

臨床実験

匐行性角膜潰瘍のアクロマイシン・イオントフオレーゼ

著者: 岩田秀三

所属機関:

ページ範囲:P.995 - P.998

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 匐行性角膜潰瘍は農村に於いては今日依然として多くこのために失明するものが少なくない。これを防止するには作業方法の改善,トラコーマや慢性涙嚢炎等の治療,或いは早期治療等が大切ではあるが,適当な治療法の出現は尚渇望せられるところである。然るに今日に於いて如何なる症例に対してもこれを行えば必ず治癒するという適確な治療法はなく,或る治療法が効果がない場合は他の方法と色々の療法が試みられている。とかくするうちに遂に失明するものも出て来る状態である。
 前に私がペニシリン,イオントフオレーゼに就いて報告した当時は大多教の症例に対して有効であったが,今日では無効例も相当多くなつて来た。例えば昭和30年に於ける私の診療所の重症匐行性角膜潰瘍110例中の20例に於いて無効であつた。かかるものをストレプトマイシン・イオントフオレーゼに切り換えてみても2例を除いては矢張り無効であつた。ペニシリン角膜内注射,結膜下注射,前房内注入等も無効例が益々増加して来ている。かくの如きこれら無効例の増加の原因としては耐性菌の増加と起炎菌の種類の変化とが考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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