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臨床実験
血圧と関係ある2〜3の眼底所見について—(其の5)再び網膜細動脈硬化と血圧及び年令との関係について
著者: 加藤謙1 松井瑞夫1 島崎哲雄1
所属機関: 1慶大眼科
ページ範囲:P.1011 - P.1017
文献購入ページに移動われわれは,第2報1)に於て,557名の症例観察に基き,網膜細動脈の「硬化所見の発生及び進行に関与する主要因子は,血圧上昇の持続そのものか,又は持続性血圧上昇と密に関連する因子であつて,単なる年令的因子は,関与しているか否か疑わしく,若し関与しているとしても関係は稀薄であると考えなければ説明が困難である」と結論した。この結論の前段は既に広く認められた事実であつて,われわれの観察は単にれの妥当なることを本邦の症例について確認したに過ぎない。併しながら後段に,現今の多くの眼科学及び病理学の成書の記載と稍異つた観察成績であつて,機会を求めて再検討を試みることを附記した。爾来われわれは,正常血圧者及び低血圧者の眼底細動脈交叉現象を特に慎重に摘発するように努めて,新たに237例を加えた。
故に今回は,この症例群に就て,交又現象を中心として判定した網膜細動脈硬化(所見)と血圧及び年令の関係を再検討した成績を報告したいと思う。
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