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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻8号

1958年08月発行

文献概要

臨床実験

時間と云う次元が加わつた視野変状—〔I〕中心性網膜炎の中心視野

著者: 大島勇一1

所属機関: 1警友病院

ページ範囲:P.1103 - P.1108

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 視野変状を考える場合,我々は狭窄或いは暗点としてその大小,形或いはその濃さ等を視野計上に画こうとするのが普通であるが,その画き始めから終りまでに時の隔りがあつても又あるのが普通であるが,そんな短い時間にはその境界は変らないと考えて,別にその時間的隔りを意にとめていない。これは暗点或いは狭窄は器質的変化の投映とみるからであろうが,私もあくまでそう考えたいがそうは考えられない種類の狭窄や暗点が数多く記されて来た。例えば血管暗点と称えられるものに於いて或いは緑内障に於て眼球に圧迫を加わえるとその暗点或いは盲斑が拡大するとされる。又或る疾患に於いて視野計の照度を明るくすると暗点が拡大するとされる。こんな暗点は一体何と考えられたのであらうか?その負荷となつた圧迫も照度もいくらでも多少することが出来るから暗点もそれに応じて,瞬間的には境界があるとしても,その境界がどんどん変るものとすれば,器質的変化はとてもこんなことではその大きさを変える筈はないから,この様な暗点は最早器質的変化の投映とは見徹し難い。その大小する範囲は負荷に対する機能的な変化と見なければならない,とすれば何もこの様な場合,暗点として境界を画く必要が果してあるであらうか?

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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