icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科12巻9号

1958年09月発行

臨床実験

前眼部血管の形態的病変に関する研究—第2報 糖尿病患者について

著者: 天羽栄作1

所属機関: 1慶大眼科教室

ページ範囲:P.1208 - P.1218

文献概要

緒言
 糖尿病の合併症は感染症と血管障碍に2大別されるが,その中感染症は抗生剤の出現により近年減少しているという1)。糖尿病患者の寿命が延長するにつれ,中年以後に多い血管障碍の意義とその研究はますます重要性を加えて来ている。血管障碍を実際に観察し得るという点において,眼底血管検査は血管障碍を伴う諸種の疾患の診断と予後判定に,もはや不可欠のものとなつているが糖尿病においても全く同様である。然し血管障碍が全身循環系にわたつて発生するものである以上,眼底血管ばかりでなく眼球結膜血管にも何らかの変化が発見出来るのではあるまいかということが予想されるのは決して不思議ではない。それ故に多くの研究者達は詳細に眼球結膜血管の形態的変化を観察し糖尿病に特有な変化として毛細血管瘤が眼底血管のみならず,眼球結膜血管にも発生することを発表して来た。然しそのような球結膜毛細血管瘤の発生は糖尿病以外にも見出される所から意義はないとする者と,或は意義を見出さんとする者と相半ばしているが,このような意見の相違を来した理由は眼球結膜が絶えず外界に暴露しているために,外傷や炎症をこうむり易くその影響によつて生じた血管の局所変化を考慮に入れなかつたためではないかと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら