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手術
欧米眼科の現行手術(2)
著者: 大塚任1
所属機関: 1東京医歯大
ページ範囲:P.1365 - P.1374
文献購入ページに移動網膜剥離手術は白内障,緑内障に次いで最も屡々見る手術である。Arrugaは眼底スケツチを見ながら無雑作にデイアテルミーで鞏膜を焼いて眼底を見るが,すぐに裂孔に当るらしく20分位で手術を終つてしまうので驚かされるが,大多数の人は1〜2〜3時間かけて鞏膜切除も同時に行うことが多い。裂孔の位置にはStrampelli氏鞏膜燈(Shapland),Goldmann氏燈(Hagedoorn)などで裂孔部の鞏膜を照し,瞳孔より眼底を覗いて位置を決める人もあつた。WeveやBiettiは反対に眼内にレンズで光を投じ,鞏膜部より裂孔を探した。Weveの所は網膜剥離の本家だけに年に網膜剥離363の手術があるとのことで諸外国で手こずつたのが,ここに集まつて来るという。Weveは220 Volt 500Wのスリ硝子電球を20Dの凸レンズで集光して倒像で眼底を見る。(この装置はPaufiqueも用いていた)手術中生理的食塩水を点服し,角膜の混濁を防ぐことは同じであるが,Stallardは,純グリセリンを点眼していた。Weveの手術室はタイル迄黒一色で手術衣その他の覆いも黒い,口の前に薄い沙の様な布を下げてマスクの代りにしているのが面白かつた。(入院200人,外来は新患50人,旧患60人といつた)日本人では鞏膜燈は眼膜の色素が多いため価値が少いと思う。
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