文献詳細
第9回綜合医学賞入選論文
文献概要
角膜の廻折スペクトル及び散乱光の角度分布を測定し,角膜の透明及び溷濁の機構をfiber及びfibrilによって構成される角膜実質の二重格子構造によつて説明した。
(1)透明角膜の表面に垂直に入射する光はfi-berの格子構造に対応して廻折せられ,スペクトルが現れる。その格子常数は13.1μである。
(2)透明角膜に入射する光の大部分はそのまま透過して行くが,一部分は前方に散乱される。側方及び後方には測定にかかる程の光は散乱されない。角膜が透明であるのはfibrilが格子状に配列しているため,干渉によつて散乱が打消されることによるものである。僅かに存在する前方散乱はfibril格子が熱騒乱によつて乱れるためであつて,其の外にfiber格子によるFraunhofer級の廻折も之に関与している。
(3)角膜溷濁時のfiber格子の変化は,偏光顕微鏡所見及び廻折スペクトルの上に反映される。fiber格子の変化は潤濁を起す原因によつて著しく異なつているが,fiber格子の変化は角膜溷濁の本態ではない。
(4)溷濁角膜の散乱は主として前方に行われるが,後方側方にも散乱される。これはfibril格子の乱れによるものであつて,fibril格子の乱れこそ角膜溷濁の本態である。尚散乱光の角度分布曲線は溷濁の原因に特有であつて,fibril格子の乱れの様式が原因によつて異つている事を示している。
(1)透明角膜の表面に垂直に入射する光はfi-berの格子構造に対応して廻折せられ,スペクトルが現れる。その格子常数は13.1μである。
(2)透明角膜に入射する光の大部分はそのまま透過して行くが,一部分は前方に散乱される。側方及び後方には測定にかかる程の光は散乱されない。角膜が透明であるのはfibrilが格子状に配列しているため,干渉によつて散乱が打消されることによるものである。僅かに存在する前方散乱はfibril格子が熱騒乱によつて乱れるためであつて,其の外にfiber格子によるFraunhofer級の廻折も之に関与している。
(3)角膜溷濁時のfiber格子の変化は,偏光顕微鏡所見及び廻折スペクトルの上に反映される。fiber格子の変化は潤濁を起す原因によつて著しく異なつているが,fiber格子の変化は角膜溷濁の本態ではない。
(4)溷濁角膜の散乱は主として前方に行われるが,後方側方にも散乱される。これはfibril格子の乱れによるものであつて,fibril格子の乱れこそ角膜溷濁の本態である。尚散乱光の角度分布曲線は溷濁の原因に特有であつて,fibril格子の乱れの様式が原因によつて異つている事を示している。
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