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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科13巻12号

1959年12月発行

文献概要

臨床実験

アイソトープによる眼循環の研究—(その3)血管拡張剤について

著者: 植村恭夫1 橋本省三2

所属機関: 1慶大眼科学教室 2慶大放射線科教室

ページ範囲:P.1493 - P.1497

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緒言
 眼循環は従来より脳循環と密接な関係があるとされている。網膜,脈絡膜血管は脳実質に分布する内頸動脈の分枝たる眼動脈より分れたもので,解剖学的,機能的にも同じような態度をとるものと考えられて来た。古くより網膜中心動脈は,脳出血,軟化等を最も起し易い被殻,視床,内包等の動脈と非常に密接な関係があることが指摘され,1939年,Keith,Wagenerが眼底所見を中心として高血圧症を分類し,其の重要性を強調して以来,認識が新たにされ現在では内科医,神経科医が眼科医の手を借りることなく自ら検眼鏡を使用し,高血圧の診断,予後の判定を行うようになつて来た。又,従来より血圧の測定は上腕動脈血圧を測定するより,網膜血管血圧を測定する方が遙かに有意義であることが強調されて来たが,其の測定方法が難しく且つ客観性がないことより眼科医のみによつて行われていた。然るに,植村教授による電気眼底血圧計の出現により,其の測定は内科医によつても行われるようになつて来た。川島,大岡等は電気眼底血圧計により描写した角膜脈波を解析した結果と,N2O法による脳循環測定結果とを比較検討し,脈波面績と脳血流量(C.B.F.)との間には直線的平衡関係があり,極めて大きい相関関係を認めた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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