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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科13巻12号

1959年12月発行

文献概要

臨床実験

角膜単性ヘルペスのPhaseと治療法との問題

著者: 池間昌男1

所属機関: 1名古屋大学眼科教室

ページ範囲:P.1503 - P.1512

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I.緒言
 近年,外来を訪れる角膜ヘルペス患者は,少なからぬ数に上り,然も,複雑難治な経過を示すものが多い。内外諸家の報告も,この事が我々の所のみの現象ではない事を,裏書きしている。古典的教科書のみならず,最近の成書に於ても,角膜ヘルペスは,さして重要な疾患として取扱われていないかの如く,病型に就ても,予後や治療法に就ても,格別の問題があるようには記述されていない事が,日々,今日の角膜ヘルペスの治療に腐心している我々に奇異の念を起さしめる。
 1939年にBurnet1)は,ヘルペスウィルス(単性)の感染が,1歳から5歳位の間にアフタ性口内炎として起り,生涯,潜伏感染としてのウィルスを保有する,という事実を明かにした。1952年にBraley2)は,再発性の角膜ヘルペスは高熱や,深刻な精神的ストレス等に依ても起るが,これは副腎が過刺激を受けてコーチゾンの放出を増し,このコーチゾンの為に,ウイルスと局所免疫機構との均衡が破られるのだと述べた。これに就ては,後で考察を試みる積りだが,Braley以後,不顕性感染から顕性となる場合のメカニスムに就て,説を為す学者がない事は,この問題の難しさを物語つている。然しThygeson3)も,角膜ヘルペス患者が第二次大戦後に激増した事を認め,コーチゾン療法以前にあつては,極めて稀か或いは「前代未聞」であつた,前房蓄膿や角膜穿孔の如き重篤な合併症も,数多く見られるようになつたと述べている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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