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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科13巻12号

1959年12月発行

文献概要

臨床実験

Carnigenの眼科的応用(基礎実験)

著者: 加藤直太1 宇山昌延1 中井洋1

所属機関: 1京大眼科教室

ページ範囲:P.1547 - P.1555

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緒言
 最近低血圧症などの循環機能障害に対する治療剤として,Carnigen (Hoechst)が,内科外科の領域で用いられるようになつている。
 Carnigenは,温血動物の臓器より抽出したAdenosin含有のNucleocidと,Suprifenの2成分からなる薬剤で,前者は末梢動脈,殊に冠状動脈の拡張作用が著しく,心搏動を亢進させる作用があり,後者は交感神経興奮剤に類するrac,p-oxyphenylmethylaminopropanol-hydroch-loridで,細静脈緊張作用があつて,静脈内貯溜血を少なくし,心臓への静脈血還流を増加させるといわれる。この2成分の複合効果から,血管内の血流を増加し,心搏出力を増大して循環機能を亢進させるのである。さて,本剤を低血圧症者に用いて,血圧上昇,循環血量増加が著明であることがみとめられ,Gerstner1),間宮1),水野1),伊東1)らの治療報告があり,又手術時の低血圧状態にも有効なことが,中山2),西邑2),田中2),川田2)らにより報ぜられている。特に血圧に及ぼす影響については,Lindner1),伊東1),中村1)の実験で,本剤の投与によつて最高血圧は上昇し,最低血圧やや低下することを明らかにしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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