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特集 第13回臨床眼科学会号 一般講演
眼内鉄片位置決定法の検討(第1報)—プラスチツク模型眼球使用に依る各種眼内位置決定法の精度の比較検討について
著者: 湖崎克1 吉原正道1 三好久子1 草野治2
所属機関: 1大阪医科大学眼科教室 2大阪医科大学放射線科教室
ページ範囲:P.249 - P.256
文献購入ページに移動近年我が国に於いて,労働条件の改善,作業の合理化等,各種の安全管理が喧しく云われているにも拘らず,眼外傷は決して少くないのである。中でも穿孔性眼外傷には重篤なものが多く,その視力的予後は,他の眼外傷に比して非常に悪いのが通常である。
外傷時の眼内異物には,鉄片,鉛,真鍮,銅,石片及び硝子片等があるが,鉄片はその外傷頻度が高く,その鉄片在留時に惹起される眼球鉄錆症及び鉄片除去後の種々の眼症状の悪化は,特に留意するべきものである。之れ迄諸氏の報告せるを見れば,眼球鉄錆症の増悪,遠視,虹彩毛様体炎,併発白内障,続発緑内障,網膜剥離及び眼球癆等が挙げられる。之等の障碍を最少限に留めるには,先づ,(1)可及的速かに鉄片を発見し除去する事,(2)除去時の眼組織の損傷を出来るだけ少くする事,の2つが考えられる。この中,前者は全ての穿孔性眼外傷のX線写真を撮影する事,又眼球を穿孔し得る最小の鉄片の陰影をフイルム上にとらえる事に依つて可能である。之れは重要な事であり,この事に関しては著者は次の機会に述べる事とする。ここで問題とするものを,先ず,後者の除去時の眼組織の損傷を最も少く留める事にしぼつてみる。この為に先ず第1に必要な事は,除去前に鉄片の位置,大きさを正確に知る事であり,X線に依る鉄片位置決定法の必要性が生じて来るのである。
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