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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科13巻2号

1959年02月発行

文献概要

特集 第13回臨床眼科学会号 一般講演

水晶体小帯の電子顕微鏡による形態学的研究

著者: 吉田テイ1

所属機関: 1北海道大学眼科

ページ範囲:P.337 - P.346

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緒言
 古来水晶体小帯の構造に就いては,多数の研究報告あるにも拘らず,古くから線維と言い,或いは膜と言い,繊細で毀れ易い性質のためか,未だ結論を得られていない。水晶体小帯は,主に水晶体と毛様体に張られた線維様物質にして,水晶体をその位置に固定し,以て眼の調節機能に関与している。本小帯は,1745年Zinn氏により,硝子体の一物質として発表されて以来,その走行及び其起始部竝に附着部等に関して,或は肉眼的に,或は組織学的に,種々なる面より観察研究され,多数の業績報告がある。然しAeby,Berger,Ulrich等が,本小帯は一種の膜様構造を有し,彼の所謂プチー氏腔の存在を認めたのに対し,Gerlich,Czermak,Salzman等は之を否定し,本小帯は線維より構成せられるものであると発表している。我国に於いても,今西,下山,倉員,深町等の知見報告あるも,現在では本小帯が膜様構造であると云うものはなく,皆線維構造説を認めているのが一致せる見解である。又本小帯は微細な線維が多数集つて一つの線維束を為し,之が相集つて小帯を構成すると云われ,Salzmanは本小帯の線維の太いものは直径0.035粍あると報告している。その後も原線維の研究は,Lauberによる顕微鏡的研究,Schultzの化学的研究,次いでPauによる位相差顕微鏡による研究,Bai-rotiの暗視野検査と相次いで行われているが,確定を見るには至つていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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