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臨床実験
他眼に視野狭窄を来した木片に依る眼球眼窩挫滅創の1例
著者: 天沼宏1
所属機関: 1慶大眼科教室
ページ範囲:P.640 - P.645
文献購入ページに移動I.緒言
眼外傷に関する多数の報告の中で,片側の眼外傷が他側の視野狭窄をもたらした症例は,私の調べた範囲では僅かに籾木氏の1例あるのみである。氏は,木片に依る右眼球眼窩刺創患者を受傷後33日目に初めて診察した所,右眼は失明し,左眼の視野が黄斑回避を有する耳側半盲を示したと述べている。最近私は,飛来せる棒状木片の先端が,眼瞼を損傷することなく,瞼裂を経て右眼球眼窩を挫滅し,受傷後8ヵ月有余にして左眼の視力低下や,高度の求心性視野狭窄,著明な眼精疲労等を現わした1例を経験したのでここに報告する。
眼外傷に関する多数の報告の中で,片側の眼外傷が他側の視野狭窄をもたらした症例は,私の調べた範囲では僅かに籾木氏の1例あるのみである。氏は,木片に依る右眼球眼窩刺創患者を受傷後33日目に初めて診察した所,右眼は失明し,左眼の視野が黄斑回避を有する耳側半盲を示したと述べている。最近私は,飛来せる棒状木片の先端が,眼瞼を損傷することなく,瞼裂を経て右眼球眼窩を挫滅し,受傷後8ヵ月有余にして左眼の視力低下や,高度の求心性視野狭窄,著明な眼精疲労等を現わした1例を経験したのでここに報告する。
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