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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科13巻4号

1959年04月発行

文献概要

臨床実験

血圧と関係ある2〜3の眼底所見について—(その10)糖尿病性網膜症の構成要素・分類並びに分類成績について

著者: 加藤謙1 羽飼昭1 天羽英作1 須賀純之助1

所属機関: 1慶大眼科

ページ範囲:P.765 - P.771

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緒言
 糖尿病性網膜症は,近時次第に増加しつつあると言われる。Thiel (1956)は糖尿病患者に於ける網膜症の発見頻度を年代を追つて図示し,それがInsulin発見以前(1923年迄)の20%以下から,近時40%以上に達している状況を述べ,又Wa-gener (1945)は自らの症例に於て1921年の8.3%が,1934年に17.7%,1945年に30.6%に増加したことを報告している。この増加は多くの報告者によつて糖尿病の治療法の進歩により,患者の生存期間が延長したことに帰せられているが,その外に網膜の糖尿病性変化に関する知見が的確となつて,軽度の所見も見逃すことがなくなつたことが考えられる。
 併し,何れにしても眼科医にとつて糖尿病性網膜症を観察する機会は次第に増加してきたことは確実であり,又糖尿病患者の生命予後が好転したのに反して,網膜症そのものの予後は好転していないために,患者は生活に支障なき身体的健康を保ちながら失明の故に生活能力を失つて絶望的な余生を送る事例が日常屡々認められるようになつた。従つて糖尿病性網膜症の初発病変・病期及び経過を熟知して,内科医及び患者に適時適切な助言を与えることは眼科医の重要な任務となつたと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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