icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科13巻6号

1959年06月発行

文献概要

眼科新知識

色覚のはじまり—人網膜の錐体桿体両視質について

著者: 堤修一1

所属機関: 1横浜逓信病院眼科

ページ範囲:P.993 - P.997

文献購入ページに移動
はじめに
 光が網膜の視細胞に達して,光のエネルギーが色の感覚に変る。その境目の色感覚のはじまりの問題はなかなか興味深い。此の問題を今迄に最も詳細に捕えたと思われるのはW.J.Shmidtの蛙桿体外節の偏光顕微鏡による研究,Sjöstrandのモルモツト桿体外節及びスズキの一種(Perch)の錐体外節の電子顕微鏡による研究並びに花岡のザリガニの視細胞,感桿の超微細構造とザリガニ個眼の電気現象に関する研究である。
 いずれも,外節又は感桿の超微細構造として,非常にうすいリポイドの層状構造が外節又は感桿の軸に対して垂直に配列し,その間に視物質の蛋白層がかさね餅の様にはさまつた互層構造を確認している。花岡は更にザリガニ個眼の電気現象の詳細を追及し,光のエネルギーにより蛋白層内の視物質が光解離を起し,陰陽両イオンが上下のリポイド層に移動吸着して界面電位を生じ,光の刺激がなくなれば界面に集つたfree radicalがSpontaneouslyに結合して,もとの視物質に再合成されると推論している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?