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臨床実験
角膜ヘルペスの研究—第1報 生体染色/角膜ヘルペスの研究—第2報 実験的角膜ヘルペスの治療に就いて
著者: 清水由規1
所属機関: 1日本医大眼科
ページ範囲:P.17 - P.37
文献購入ページに移動Lowensteinが1919に,単純疱疹や樹枝状角膜炎より家兎角膜に接種,角膜ヘルペスを発病させた論文を報告しているが,それに依ると,Gruterは1912〜1913に同様な実験を行つている。更に又Gruterは,1920に実験的家兎角膜ヘルペスより,人間の失明眼に接種,発病に成功した事を報告している。以来,角膜ヘルペスは,ヘルペス,ウイルスに依つて起る事が実験的に証明された。然し,本邦に於ける角膜ヘルペスの実験的報告は,2,3の症例に接するのみである。匐行性角膜潰瘍,角膜実質炎等は抗生物質,副腎皮質ホルモンの出現以前は,失明眼の重要位置を占め,角膜ヘルペスは等閑視される傾向であつたが,此れ等の薬剤の出現に依り,角膜細菌性化膿性疾患,角膜実質炎等は比較的治療が容易になつた。所が,角膜ヘルペスは角膜の炎症性疾患の中では重要部位を占め,特に最近,抗生物質,副腎皮質ホルモンを乱用するにつれて,角膜ヘルペスの症例が増えて来た様であり,又重症例になる傾向がある。即ち,角膜ヘルペスは,緑内障に次いで最も重要の疾患の一つに数えられて来た。そして欧米乃至我国にても,角膜ヘルペスにより失明に至つた症例はかなり多い。
角膜ヘルペスは,臨床上,表在性の潰瘍を作り,一見治療は容易である様に見える。又特に血管の新生を伴わない事が多い。
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