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特集 故佐藤勉教授追悼号 円錐角膜
円錐角膜に見られるFleischer輪の吸収スペクトルに就いて
著者: 中島章1 紺山和一1 野間正喜2
所属機関: 1順天堂大学眼科 2オリンパス光学(株)
ページ範囲:P.1685 - P.1690
文献購入ページに移動円錐角膜は角膜形状の変化を主たる症状とする疾患で青年期に多い。その経過,症状等から,一種の局所的代謝異常に原因があるであろうと推察されているが,全身的な諸検査が多くの研究者によつてなされて来たに不拘この方面からの検索は何等の手掛りをも与えないかに見える。角膜は眼球の通光組織の内最も重要な部分であり,その形は大約3歳前後で一定となる。又その物質代謝は上皮層を除いては極めて緩慢と云われている。しかし,青年期に起る種々の全身的な変化,例えば成長速度の変化や,ホルモンの平衡の変化等が,局所に於ける素因と相まつて,この様な変形を起して来るのではないかと想像される。順天堂に於ては故佐藤教授によつて後面切開及圧迫繃帯法による円錐角膜の治療が行われて居り,此の疾患の発見率も,他院より紹介されて来る患者も多く,此の極めて興味ある疾患の本態の研究には好適な所と思われたので,種々の方面から円錐角膜の病因の研究を進めて来た。
これらの研究の内,此の疾患の初期から完成期に細隙灯顕微鏡によつて発見される種々の変化,(その内には従来記載にもれていたものも含まれているが)の一部については著者の1人(紺山,1959)が簡単に発表した。その変化を此所にまとめると,上皮及びボウマン膜,時には実質前面に達する円盤状の小さい混濁,多くは中央,周辺をさけた中央から数mmの所に見られる。
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