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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科14巻11号

1960年11月発行

特集 故佐藤勉教授追悼号

眼遺伝・失明 招待論文

小口氏病の遺伝ならびに不完全伴性遺伝の検定(予報)

著者: 田中克己1

所属機関: 1東京医科歯科大学人類遺伝学研究室

ページ範囲:P.1743 - P.1757

文献概要

 1) わが国における小口氏病の文献から集めた74同胞群と,未発表の4同胞群の資料を遺伝学的に分析した。
 2) これら78同胞群のうち正常者は男95,女98で有意差はないが,異常者は男95,女50で大差がある。しかし性差は発端者にのみ著明であつて(男54,女19),二次症例では有意差が認められない (男36,女28)ところから見て,異常者の頻度には性差はなく,ただ男の方が診療を受ける機会が大きいためであろう。
 3) Macklinは色素性乾皮症において患者の父がその父方から病的遺伝子を受けとつたときには異常男と正常男とが増加し,母方から受けとつたときには女が増加し,これが不完全伴性における性分布の原因であろうという仮説を発表したが,小口氏病の資料ではMacklinの仮説と必ずしも一致しない。
 4)単独選択と見なして分離比を推定すると,正常×正常結婚では22.54±2.52%,異常×正常結婚では46.67±12.88%であつて,ともに単純劣性の仮定に合致している。
 5) 両親の従兄妹結婚率は41.2〜46.0%で,他の血族結婚も合算すると60.33%に達する。
 6)本症の遺伝子頻度は4.0〜4.1×10−3と推定された。本症患者の頻度は2.8〜3.3×10−5,すなわち約30,000〜36,000人に1人と推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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