文献詳細
特集 故佐藤勉教授追悼号
眼遺伝・失明
文献概要
1.序
失明予防は眼科学に於ける最も重要な研究課題の一つである。失明原因調査は古くから各国で行われて居り,我が国でも戦後眼衛生協会小山,北岡氏等(1952,1957)によつて,調査が行われ,その結果が発表されている。これらを通覧すると,戦前から戦後にかけての治療医学の急速な発達に伴つて,失明原因に大きな変化が生じて来ているのを看取する事が出来る。
即ち,伝染性疾患を直接間接の原因とする失明が減少して,先天性,内因性の疾病による失明がその比率や重要性を増加して来て居る。近来の人類遺伝学,特にその集団遺伝学的研究法の発展につれて,この様な失明原因の調査が,失明原因である疾患の成因について,幾多の有用な知識を提供する可能性を有しているにも不拘,この仕事が或は眼科医以外の人々によつて,或はこの様な近代的分析法に精通した専門分野の人々の協力なしに行われていた為,当然得られるべき貴重な知見が,そのまま埋もれてしまつていたうらみがあるのを否定出来ない。
失明予防は眼科学に於ける最も重要な研究課題の一つである。失明原因調査は古くから各国で行われて居り,我が国でも戦後眼衛生協会小山,北岡氏等(1952,1957)によつて,調査が行われ,その結果が発表されている。これらを通覧すると,戦前から戦後にかけての治療医学の急速な発達に伴つて,失明原因に大きな変化が生じて来ているのを看取する事が出来る。
即ち,伝染性疾患を直接間接の原因とする失明が減少して,先天性,内因性の疾病による失明がその比率や重要性を増加して来て居る。近来の人類遺伝学,特にその集団遺伝学的研究法の発展につれて,この様な失明原因の調査が,失明原因である疾患の成因について,幾多の有用な知識を提供する可能性を有しているにも不拘,この仕事が或は眼科医以外の人々によつて,或はこの様な近代的分析法に精通した専門分野の人々の協力なしに行われていた為,当然得られるべき貴重な知見が,そのまま埋もれてしまつていたうらみがあるのを否定出来ない。
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