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特集 故佐藤勉教授追悼号 斜視
手持眼底カメラによる固視の記録(その1)
著者: 馬場賢一1 田中宏和1
所属機関: 1順天堂大学眼科
ページ範囲:P.1935 - P.1938
文献購入ページに移動弱視治療に於て,固視の状態を検査する事は治療の方針を決定し,予後を推定する上に大変重要である。最近盛んになつて来たPleopticsでも,固視の状態によりその治療方法も変り,Occulsi-onのみで治療するか,Pleopticsによるか,ともかく治療を始める前に固視状態を良く検査する事はぜひ必要な手続きと考えられる1)2)。
固視状態はその固視点の位置によつて分類される。その診断方法にはVisuscopeやEuthyscopeによるもの,Koordinator3)による検査方法等いろいろあるが,記録する方法としては著者がさきに図譜4)として発表した如く,写真撮影するのが最も良い。写真撮影によれば固視状態の診断と記録が可能であり,甚だ便利である。写真撮影により網膜固視点を決定する方法の要点は,眼底カメラの視野の中心に黒いスポットの指標を置き,このスポットを被検者に固視させながら眼底を撮影する事である。すなわち画面上には固視点に一致して指標像がうつり,云いかえば指標像のうつつている箇所に固視点があるという事になる。この方法はSteiger,Würth5)によつて行われ,その後Burian,Noorden6)7)等によつて種々改良された方法で試みられている。これらは大型眼底力メラを改造して行われたものであるが,われわれは野寄式手持眼底カメラ8)9)を少し改造して試みた。
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