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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科14巻12号

1960年12月発行

文献概要

臨床実験

家兎眼球各部のグルタチオン含有量,及びナフタリン白内障に於けるグルタチオン含有量とグルタチオン生合成能の変化について

著者: 難波淳典1

所属機関: 1日本医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.2057 - P.2061

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緒言
 Pirie学派は角膜及び水晶体の透明性はその代謝に依存するようで,酸素及びブドウ糖を欠乏させるとき又はモノヨード醋酸,青酸塩のような代謝毒に曝らすときは溷濁してくること,水晶体の代謝エネルギーの大部分は房水含有のブドウ糖により補給されていることを報じている1)。実験的に種々の方法で起した糖尿病性白内障,及びX線白内障水晶体の代謝研究によるとAdenosinetriphosphateグルタチオン,及び可溶性蛋白の喪失が共通の現象であるが,最初に現われる変化はグルタチオンの減少であり,またグルタチオン還元酵素及びグルタチオン合成酵素の活性も減少すると云われる1)。さらに興味あることとしてグルタチオンの含有量は他の如何なる臓器よりも眼に多く,その中でも水晶体中に最も多く含有されている2)。Kinsey及びMerriam3)は白内障水晶体での実験成績からして,かかる水晶体でみられるグルタチオン含有量の低下は本来グルタチオン生合成の抑制によるものでグルタチオン分解の昻進によるものでないとしている。またPirie等は家兎のX線白内障で早期に侵される酵素はSH基を必要とする酵素であり,さらにグルタチオン還元酵素は極く早期に活性を失うと報じ4),Joce-lyne5)も生体内での還元型グルタチオンの確保にはグルタチオン還元酵素が主役を演じているとしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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