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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科14巻2号

1960年02月発行

文献概要

特集 第13回臨床眼科学会号 一般講演

眼窩内循環に関する研究(第1報)—眼球加圧時における眼球反応度について

著者: 大神妙子1

所属機関: 1東邦大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.271 - P.276

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緒言
 眼球が不随意的に前後方向へ運動を示すことが,1900年頃にDonders, Müller等によつて述べられている。Helfrich, Bellarminoff, Wes-sely, Tuyl等はこの問題について研究し,Bella-rminoff, Wesselyは,眼球の搏動性変位が,眼内圧上昇に伴つて増大することを認めた。Tuylは,人眼について,眼球の前後運動は0.01〜0.02mmであり,心搏動増大に伴つて増加することを報告した。その後,Wegnerは,plethysmo-graphyを応用して眼球及びその被膜の律動的運動を描写し,頸動脈脈波を之と同時に記録した。彼は,この律動的運動の波型が動脈波に類似し,かつ頸動脈脈波と等しい周期をもつことを認め,之が球後大血管即ち眼動脈の搏動に起因することを報告している。近年堀内は,電気眼動脈圧力脈波計を使用して,眼窩内循環に基いて起る脈波を記録し,之より眼動脈血圧値を算出し,宇津見は,同脈波が,伝達の時間的関係からも眼動脈脈波と考えられる旨を報告している。
 以上より,眼球に,心搏動と等しい周期をもつ,律動的な前後運動のある事が明らかとなつた。また,頸動脈脈波と同時に記録すると,此の眠球前後運動による波型のほうが僅かに遅れて始まり,頸動脈よりも末梢に位置する血管系への血液循環によつて生ずると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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