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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科14巻2号

1960年02月発行

文献概要

特集 第13回臨床眼科学会号 一般講演

屈折要素の相関立体供覧

著者: 大塚任1

所属機関: 1東京医歯大眼科

ページ範囲:P.615 - P.616

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 屈折要素の各2因子間の相関については,既に我教室より多数の詳細な報告を出しているが,眼軸長,水晶体屈折力(前房の深さを含む)及角膜屈折力の3つの主要素間の相関が,実際にはどうなつているかについては,内外共に報告がない。よつて私は,眼軸長を縦軸に,水晶体屈折力を横軸に,角膜屈折力を前後軸にとり,この3要素間の相関を立体的に現して見た。材料には教室の大野住男が昭和31年に発表したX線光覚による生体眼軸測定成績を用いた。その理由は,この調査は某中学3年生全員(512眼)について行われ,年齢が14〜15歳でほぼ一定し,任意集団であり,男女ほとんど同数で,測定値も最確値8回の平均値であり,現在の所では,世界で最も信用出来る材料と信ぜられるからである。
 結果は図の如く,3つの相関は美しい平面(正しく言えばわずかに中央部が上凸の曲面)を形成し,この面は大体3軸の交点の方向に上面を向け,後方程高い斜面を形成し,面の上方では,平らかで,サンプルの偏位が少いが,下方では,眼軸が長くなる程,この面より外れるサンプルが多くなつてくる。この面より外れるもの程,3要素間の相関が悪いもので,これが近視を形成しているのであり,従つて,眼屈折要素間の関係を論ずる場合,従来の如く,単に平面的に考える事より一歩進んで立体的に考えねばならぬことを知つたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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