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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科14巻2号

1960年02月発行

文献概要

特集 第13回臨床眼科学会号 一般講演

冷凍角膜に関する研究—1.冷凍貯蔵後の生活能について

著者: 青野平1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.621 - P.628

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I.緒言
 角膜移植に関しては,古来幾多の研究実験が行われて来たが,1929〜1932年Filatovが屍体眼球を用いて同種角膜移植に成功して以来,特に内外の注目を集め臨床的にも広く用いられる様になつた。然し乍ら角膜移植は供給角膜の得難いことと,摘出角膜の長期保存の困難なために,その施術には大きな制約が加わることが最大の欠点である。従つて角膜移植に就ての最近の研究は,代用角膜に関するものと摘出角膜の長期保存に関するものが最も多い。長期保存に関しては,保存液の性状,保存温度等種々の因子が大きな影響を与える事は既に多くの研究により明らかにされて居り多くの先人によつて長期保生が試みられている。例えば,Deutman (1940)は,フォルマリン固定,Filatov (1937)は乾燥,Smelser (1946)は液体窒素冷凍,又Katzin (1947),Leopold(1947)は,冷凍乾燥等,種々試みているが何れも失敗に終つている。我国に於ては中村が角膜組織保生に関し系統的研究を行つた結果,+4℃血清内保存が最も優れていると結論している。
 近年に到りPolge (1949)が,15〜20%にグリセリンを鶏精液に加え,5℃に一夜放置後,−79℃迄冷却した後,融解しても精虫が可成生存しているのを認めて以来,冷凍保存に就ての研究が盛んになつて来た。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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