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日本トラホーム予防協会会誌
トラコーマの集団治療に関する研究—第1報 トラコーマ集団治療の成績及びその検討 後篇
著者: 浅水逸郎1
所属機関: 1東北大学眼科教室
ページ範囲:P.7 - P.12
文献購入ページに移動Ⅳ.集団検診及び治療に関する検討
1.診断基準及び治癒判定について
1)診断基準
従来の集団治療成績はMac Callanの病期別分類,或は之に準じたもの,及び症状を示す内務省衛生局分類26)に分けられているが,その両者を考慮して作られたのがWHO及び文部省トラコーマ班の分類である。この病期及び症状の差が劃然と認識されていない為に従来の諸報告に於ても当然治癒率に差を生じて来るものと思われる。農村及び都会に於ける検診にありては,同一医師でも病期及び症状についてその判定に差が生じ易いが,これは症状の記載の不充分なことは基くことが多く,著者自身が注意しながら未だその弊害より脱しきれない。病期の区別に関しては農村,特に未治療地に於てはMacCallanの示す病期に従つて進行する例が比較的多いと考えられるが,都市に於ては自然或は治療による無瘢痕治癒,或は手術療法に依る瘢痕化治癒があり,ト病期の鑑別が不能となる如き条件が存在するのでMac Callanの分類のみに頼ることに不適当で,殊にTr.Ⅰb, Tr.Ⅱbの如きはMac Callanが混合感染と考えていたものであり,彼の見解,又はその年代或は地域に於けるトが日本に於けるものと相違がある。このことは桐沢教授19)20)21)も屡々述べられた事である。
1.診断基準及び治癒判定について
1)診断基準
従来の集団治療成績はMac Callanの病期別分類,或は之に準じたもの,及び症状を示す内務省衛生局分類26)に分けられているが,その両者を考慮して作られたのがWHO及び文部省トラコーマ班の分類である。この病期及び症状の差が劃然と認識されていない為に従来の諸報告に於ても当然治癒率に差を生じて来るものと思われる。農村及び都会に於ける検診にありては,同一医師でも病期及び症状についてその判定に差が生じ易いが,これは症状の記載の不充分なことは基くことが多く,著者自身が注意しながら未だその弊害より脱しきれない。病期の区別に関しては農村,特に未治療地に於てはMacCallanの示す病期に従つて進行する例が比較的多いと考えられるが,都市に於ては自然或は治療による無瘢痕治癒,或は手術療法に依る瘢痕化治癒があり,ト病期の鑑別が不能となる如き条件が存在するのでMac Callanの分類のみに頼ることに不適当で,殊にTr.Ⅰb, Tr.Ⅱbの如きはMac Callanが混合感染と考えていたものであり,彼の見解,又はその年代或は地域に於けるトが日本に於けるものと相違がある。このことは桐沢教授19)20)21)も屡々述べられた事である。
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