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銀海余滴
孫弟子からみた河本先生(4)—河本重次郎先生御生誕100年祭にあたりて
著者: 須田経宇1
所属機関: 1熊大眼科
ページ範囲:P.25 - P.25
文献購入ページに移動私共の医局に居た頃は,桜の咲く四月の初めには九段富士見町の先生のお宅に医局員を呼んでお宅の有名なコックの洋食を御馳走をして下さることが慣わしになつていました。そのときには勲一等の勲章をみせて頂き,又大正天皇の御大典のとき,荒木寛三郎京大総長が先生よりズッと後に居たよと笑われながら,宮中席次の話をされたものでした。
或るとき医局で突然先生は私に,先生の御郷里豊岡へ一緒に行こう,そしてその近くの城崎温泉へ行つて一杯飲もう,芸者は僕がおごると御郷里を自慢されながら私に約束されたことがありました。その時は余程御気嫌が良かつたのでしよう。御気嫌が良かつたと云えば,昭和5年の大阪で日眼総会があつたとき,私の父は河本先生から「かき船」を御馳走になつたことがあるそうです。先生は他所で他人におごることはなさらなかつたそうで非常に稀しいことだと帰宅後私に話してくれました。よつぽど御気嫌が良かつたのだろうと思います。
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