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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科14巻6号

1960年06月発行

文献概要

臨床実験

フルオレスシンの眼房内移行について—附:前房内Fl濃度測定装置の試作

著者: 中村重雄1

所属機関: 1東北大学医学部眼科教室

ページ範囲:P.1038 - P.1045

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緒言
 血流に入つた物質が眼内に如何なる様相にて出現するか,此の現象を研究する事は,眼機能上及び眼科臨床上に於ける諸問題の究明に対し重要な手段の一つになる。眼内移行の研究を眼房水に限定する時,所謂血液房水柵(以下血房柵と略す)に関する渚問題として古くから採り挙げられて来た課題である。文献上挙げられた研究対象物質は枚挙に連がないが,大多数は測定に際し前房穿刺等を行わなければならず,又,測定手技も複雑で臨床に応用するには多くの困難を伴なうのが普通である。生体で直接観察するに便利なのは色素の注入であるが,陽性荷電色素は一般に移行性が少い。1882年Ehrlich氏は,血流中に注入した陰性荷電であるフルオレスシン(以下Flと略す)が眼房に出現した事を記載している。Fl—ナトリウム(ウラニン)は拡散性の強い酸性色素であるから移行量が大きく,且,螢光性の為微量でも検出が容易であるので,之を用いた業績は極めて多数の報告があり,近年,生理的条件を比較的侵害することの少いAmsler-Huber法の発表以来特に臨床例も含めて相次いで報告せられるに至つた。
 Flの眼房移行に関して,Flが血房柵を通過する事実には特に議論の余地はないが,Flの血房柵透過に於ける態度に就いては異論百出の態である。血房柵は物質の通過に当つて阻止するのが本来の態度であるが,柵である以上其の間隙を潜ぐり抜けるものもある。即ち物質に依り其透過性に差がある事である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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