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臨床実験
眼球後部血管の角膜脈波に及ぼす影響並びにその阻止について
著者: 川嶋菊夫1
所属機関: 1慶大眼科教室
ページ範囲:P.1165 - P.1169
文献購入ページに移動著者はさきに角膜脈波に関する第1の問題として,其伝達時間測定時に於ける角膜の態度について報告した。今回は第2の問題として球後血管が角膜脈波に及ぼす影響について検討してみた。そもそも眼球後部血管の搏動により眼球が律動的に前後に運動する事は,Müller氏により述べられHelfrich,Tuyl両氏の研究により裏付けられた。続いて1930年Wegner氏により再び報告され,吾国でも宇津見,堀内両氏が眼窩plethysmo-graphを用いて此の運動を捉え,何れも眼動脈により生ずるものなる事を報告した。従つて今迄の慶大式電気眼底血圧計(MPR30V)により角膜脈波を描写する場合,前方より(眼窩開放端)眼球を圧追する故に当然この眼球後部血管の搏動による眼球前後運動の影響が這入つてくる事が想像される。従つてこの影響が如何なる形で這入つてくるであろうかと云う事は真の眼内血管による脈波を知る上に大切な事である。又この影響により生ずる脈波(変形波)を如何にしたら除去し得るやの根本問題を提起する事ともなるわけで,この問題の解決ありてこそ真の眼内血管による脈波を把握する事が出来,眼内循環の態度を正確に知る事が出来る。他方球後血管の状態を別の記録として取出し得る事が出来,茲に眼窩,眼内循環動態を解釈し得る尺度となる事が出来ると確信する。
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