icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科14巻9号

1960年09月発行

文献概要

臨床実験

網膜剥離眼に於ける眼圧調整機序の様相に就いて—(第3編)不安定試験の成績に就いて

著者: 森寺保之12

所属機関: 1京大眼科 2大津市民病院眼科

ページ範囲:P.1379 - P.1383

文献購入ページに移動
 網膜剥離眼に於ける眼圧値はその約43%に於て,正常眼圧値より下降するが,症例の中には眼圧値のむしろ異常に上昇する例も認められ,必ずしも本症に於ける眼圧値は唯下降するとは一律に断じ得えない場合もある事は前報の統計的観察に依つて知り得たる所である。
 之の成因に就いては網膜に於ける剥離,類嚢脆変性巣等の病的変化が直接,或は間接に毛様体に影響する事による毛様体に於ける房水産生状態の異常が,当然眼圧値の変動を齎らす原因となると考慮されるのであるが,その異常が或時期に於ては眼圧の維持に,或時期に於いては之がむしろ異常に高眼圧に導き,遂には不安定性を招来するが如き結果となると考えられる。比の高眼圧は,Arrugaも云うが如く,特発性網膜剥離に於ては毛様体の炎症性反応或は刺激状態に由来する。又一面に於ては,毛様体の機能が極端に低下し,裂孔の存在による脈絡膜血管系への眼液の異常流出路の存在と相俟つて眼圧下降に向う事も当然想像される。そこで茲に,この裂孔の存在と,本症に於ける毛様体機能異常による眼圧変動との間に,不安定性と云う観点に立つて考察を加え,不安定試験を行い本症眼圧調整機序の様相を知る一助とした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?