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臨床実験
春季カタルに於ける角膜症状の綜合的研究
著者: 盧慈愛1
所属機関: 1台湾呉基福眼科研究所
ページ範囲:P.1426 - P.1444
文献購入ページに移動緒言
春季カタルはVon Arlt (1846)が始めて記載し,Saemischが始めて命名して以来,本疾患に関する研究が数外く発表されて来た。殊に結膜の臨床症状及び病理組織学的研究については枚挙に暇が無いほど多数の報告がなされているが,角膜症状については少数の症例報告があるのみで綜合的研究の発表は未だに為されていない。春季カタルの病因については大体に於て次の如き学説が有力視されている。即ち気候説(Panvers,Emmert, Plitt等),自律神経障害説(Angelu-cci, Bruno等),内分泌障害説(Lemoine, Lag-ranze等)アレルギー説(Seefelder, Krückma-nn, Weinstein,小口等)がある。現在に於いてはアレルギー説が大勢を占めている様な状態であるがアレルゲンについては花粉感作説が最も有力である。この様に春季カタルについての研究は非常に活溌であるが,春季カタルの角膜症状に就ての報告は小口教授の研究を除けば殆んど系統的な研究は無く,断片的な症例報告があるに過ぎない。しかも春季カタルは一種の炎症であり,従つて炎症性疾患である春季カタルに就ての研究は炎症と云う基本原則に従つてもつと系統的な研究がなされるべきであつて,個々の症例報告をもつて本疾患の綜合的研究と見做すべきものでは無い。
春季カタルはVon Arlt (1846)が始めて記載し,Saemischが始めて命名して以来,本疾患に関する研究が数外く発表されて来た。殊に結膜の臨床症状及び病理組織学的研究については枚挙に暇が無いほど多数の報告がなされているが,角膜症状については少数の症例報告があるのみで綜合的研究の発表は未だに為されていない。春季カタルの病因については大体に於て次の如き学説が有力視されている。即ち気候説(Panvers,Emmert, Plitt等),自律神経障害説(Angelu-cci, Bruno等),内分泌障害説(Lemoine, Lag-ranze等)アレルギー説(Seefelder, Krückma-nn, Weinstein,小口等)がある。現在に於いてはアレルギー説が大勢を占めている様な状態であるがアレルゲンについては花粉感作説が最も有力である。この様に春季カタルについての研究は非常に活溌であるが,春季カタルの角膜症状に就ての報告は小口教授の研究を除けば殆んど系統的な研究は無く,断片的な症例報告があるに過ぎない。しかも春季カタルは一種の炎症であり,従つて炎症性疾患である春季カタルに就ての研究は炎症と云う基本原則に従つてもつと系統的な研究がなされるべきであつて,個々の症例報告をもつて本疾患の綜合的研究と見做すべきものでは無い。
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